視力低下や失明の後遺症が残った場合の後遺障害等級、賠償金額、後遺障害の立証方法について解説します。
「失明」とは、眼球を摘出した状態、明暗を判断できない状態、ようやく明暗を判断できる状態のことをいいます。
後遺障害等級を認定する際の「視力」とは、裸眼視力ではなく、メガネやコンタクトレンズ、眼内レンズ等の装用で得られた矯正視力のことです。
ただし、角膜損傷等によりメガネによる矯正が不可能で、コンタクトレンズに限り矯正ができる場合は、裸眼視力で後遺障害等級を認定する取り扱いがなされています。
40歳、会社員、年収480万円、
交通事故について被害者の過失なしの場合
等級 | 後遺障害 | 参考賠償金額 |
1級1号 | 両眼が失明したもの |
1億2777万5600円 解説を見る |
詳しい算出条件 |
後遺障害の逸失利益(後遺症) | 8796万9600円 =480万円(年収)×1(労働能力喪失率100%)×18.327(67歳までのライプニッツ係数) |
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後遺障害の慰謝料(後遺症) | 2800万円 (*別に近親者の慰謝料も支払われる可能性があります) |
入通院慰謝料 | 335万円 (これが基準額ですが、生死が危ぶまれる状態が継続したときや、麻酔なしでの手術等極度の苦痛を被ったとき、手術を繰り返したときなどは、より高額になる可能性があります) |
休業損害 | 800万円 |
入院雑費 | 45万6000円 =1500円×304日(10ヶ月) |
治療費等 | 実費 (保険会社から直接病院に支払われることが多いです) |
交通費 | 実費 |
その他 | 参考保険金額が増額される可能性があります。 装具等購入費、家屋・自動車等改造費、将来の治療費等、将来の雑費、近親者の慰謝料、近親者の付添看護費・自宅付添費、弁護士費用、遅延損害金など |
2級1号 | 1眼が失明し、他眼の視力が0.02以下になったもの |
1億2347万5600円 解説を見る |
詳しい算出条件 |
後遺障害の逸失利益(後遺症) | 8796万9600円 =480万円(年収)×1(労働能力喪失率100%)×18.327(67歳までのライプニッツ係数) |
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後遺障害の慰謝料(後遺症) | 2370万円 (*別に近親者の慰謝料も支払われる可能性があります) |
入通院慰謝料 | 335万円 (これが基準額ですが、生死が危ぶまれる状態が継続したときや、麻酔なしでの手術等極度の苦痛を被ったとき、手術を繰り返したときなどは、より高額になる可能性があります) |
休業損害 | 800万円 |
入院雑費 | 45万6000円 =1500円×304日(10ヶ月) |
治療費等 | 実費 (保険会社から直接病院に支払われることが多いです) |
交通費 | 実費 |
その他 | 参考保険金額が増額される可能性があります。 装具等購入費、家屋・自動車等改造費、将来の治療費等、将来の雑費、近親者の慰謝料、近親者の付添看護費・自宅付添費、弁護士費用、遅延損害金など |
2級2号 | 両眼の視力が0.02以下になったもの |
1億2347万5600円 解説を見る |
詳しい算出条件 |
後遺障害の逸失利益(後遺症) | 8796万9600円 =480万円(年収)×1(労働能力喪失率100%)×18.327(67歳までのライプニッツ係数) |
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後遺障害の慰謝料(後遺症) | 2370万円 (*別に近親者の慰謝料も支払われる可能性があります) |
入通院慰謝料 | 335万円 (これが基準額ですが、生死が危ぶまれる状態が継続したときや、麻酔なしでの手術等極度の苦痛を被ったとき、手術を繰り返したときなどは、より高額になる可能性があります) |
休業損害 | 800万円 |
入院雑費 | 45万6000円 =1500円×304日(10ヶ月) |
治療費等 | 実費 (保険会社から直接病院に支払われることが多いです) |
交通費 | 実費 |
その他 | 参考保険金額が増額される可能性があります。 装具等購入費、家屋・自動車等改造費、将来の治療費等、将来の雑費、近親者の慰謝料、近親者の付添看護費・自宅付添費、弁護士費用、遅延損害金など |
3級1号 | 1眼が失明し、他眼の視力が0.06以下になったもの |
1億1967万5600円 解説を見る |
詳しい算出条件 |
後遺障害の逸失利益(後遺症) | 8796万9600円 =480万円(年収)×1(労働能力喪失率100%)×18.327(67歳までのライプニッツ係数) |
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後遺障害の慰謝料(後遺症) | 1990万円 |
入通院慰謝料 | 335万円 (これが基準額ですが、生死が危ぶまれる状態が継続したときや、麻酔なしでの手術等極度の苦痛を被ったとき、手術を繰り返したときなどは、より高額になる可能性があります) |
休業損害 | 800万円 |
入院雑費 | 45万6000円 =1500円×304日(10ヶ月) |
治療費等 | 実費 (保険会社から直接病院に支払われることが多いです) |
交通費 | 実費 |
その他 | 参考保険金額が増額される可能性があります。 装具等購入費、家屋・自動車等改造費、将来の治療費等、将来の雑費、近親者の付添看護費・自宅付添費、弁護士費用、遅延損害金など |
4級1号 | 両眼の視力が0.06以下になったもの | 1億943万8032円 解説を見る |
詳しい算出条件 |
後遺障害の逸失利益(後遺症) | 8093万2032円 =480万円(年収)×0.92(労働能力喪失率92%)×18.327(67歳までのライプニッツ係数) |
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後遺障害の慰謝料(後遺症) | 1670万円 |
入通院慰謝料 | 335万円 (これが基準額ですが、生死が危ぶまれる状態が継続したときや、麻酔なしでの手術等極度の苦痛を被ったとき、手術を繰り返したときなどは、より高額になる可能性があります) |
休業損害 | 800万円 |
入院雑費 | 45万6000円 =1500円×304日(10ヶ月) |
治療費等 | 実費 (保険会社から直接病院に支払われることが多いです) |
交通費 | 実費 |
その他 | 参考保険金額が増額される可能性があります。 装具等購入費、家屋・自動車等改造費、将来の治療費等、将来の雑費、近親者の付添看護費・自宅付添費、弁護士費用、遅延損害金など |
5級1号 | 1眼が失明し、他眼の視力が0.1以下になったもの | 9530万1984円 解説を見る |
詳しい算出条件 |
後遺障害の逸失利益(後遺症) | 6949万5984円 =480万円(年収)×0.79(労働能力喪失率79%)×18.327(67歳までのライプニッツ係数) |
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後遺障害の慰謝料(後遺症) | 1400万円 |
入通院慰謝料 | 335万円 (これが基準額ですが、生死が危ぶまれる状態が継続したときや、麻酔なしでの手術等極度の苦痛を被ったとき、手術を繰り返したときなどは、より高額になる可能性があります) |
休業損害 | 800万円 |
入院雑費 | 45万6000円 =1500円×304日(10ヶ月) |
治療費等 | 実費 (保険会社から直接病院に支払われることが多いです) |
交通費 | 実費 |
その他 | 参考保険金額が増額される可能性があります。 装具等購入費、家屋・自動車等改造費、将来の治療費等、将来の雑費、近親者の付添看護費・自宅付添費、弁護士費用、遅延損害金など |
6級1号 | 両眼の視力が0.1以下になったもの | 8254万5632円 解説を見る |
詳しい算出条件 |
後遺障害の逸失利益(後遺症) | 5893万9632円 =480万円(年収)×0.67(労働能力喪失率67%)×18.327(67歳までのライプニッツ係数) |
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後遺障害の慰謝料(後遺症) | 1180万円 |
入通院慰謝料 | 335万円 (これが基準額ですが、生死が危ぶまれる状態が継続したときや、麻酔なしでの手術等極度の苦痛を被ったとき、手術を繰り返したときなどは、より高額になる可能性があります) |
休業損害 | 800万円 |
入院雑費 | 45万6000円 =1500円×304日(10ヶ月) |
治療費等 | 実費 (保険会社から直接病院に支払われることが多いです) |
交通費 | 実費 |
その他 | 参考保険金額が増額される可能性があります。 装具等購入費、家屋・自動車等改造費、将来の治療費等、将来の雑費、近親者の付添看護費、弁護士費用、遅延損害金など |
7級1号 | 1眼が失明し、他眼の視力が0.6以下になったもの | 7106万8976円 解説を見る |
詳しい算出条件 |
後遺障害の逸失利益(後遺症) | 4926万2976円 =480万円(年収)×0.56(労働能力喪失率56%)×18.327(67歳までのライプニッツ係数) |
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後遺障害の慰謝料(後遺症) | 1000万円 |
入通院慰謝料 | 335万円 (これが基準額ですが、生死が危ぶまれる状態が継続したときや、麻酔なしでの手術等極度の苦痛を被ったとき、手術を繰り返したときなどは、より高額になる可能性があります) |
休業損害 | 800万円 |
入院雑費 | 45万6000円 =1500円×304日(10ヶ月) |
治療費等 | 実費 (保険会社から直接病院に支払われることが多いです) |
交通費 | 実費 |
その他 | 参考保険金額が増額される可能性があります。 装具等購入費、家屋・自動車等改造費、将来の治療費等、将来の雑費、近親者の付添看護費、弁護士費用、遅延損害金など |
8級1号 | 1眼が失明し、又は1眼の視力が0.02以下になったもの | 5969万2320円 解説を見る |
詳しい算出条件 |
後遺障害の逸失利益(後遺症) | 3958万6320円 =480万円(年収)×0.45(労働能力喪失率45%)×18.327(67歳までのライプニッツ係数) |
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後遺障害の慰謝料(後遺症) | 830万円 |
入通院慰謝料 | 335万円 (これが基準額ですが、生死が危ぶまれる状態が継続したときや、麻酔なしでの手術等極度の苦痛を被ったとき、手術を繰り返したときなどは、より高額になる可能性があります) |
休業損害 | 800万円 |
入院雑費 | 45万6000円 =1500円×304日(10ヶ月) |
治療費等 | 実費 (保険会社から直接病院に支払われることが多いです) |
交通費 | 実費 |
その他 | 参考保険金額が増額される可能性があります。 装具等購入費、家屋・自動車等改造費、将来の治療費等、将来の雑費、近親者の付添看護費、弁護士費用、遅延損害金など |
9級1号 | 両眼の視力が0.6以下になったもの | 4949万5360円 解説を見る |
詳しい算出条件 |
後遺障害の逸失利益(後遺症) | 3078万9360円 =480万円(年収)×0.35(労働能力喪失率35%)×18.327(67歳までのライプニッツ係数) |
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後遺障害の慰謝料(後遺症) | 690万円 |
入通院慰謝料 | 335万円 (これが基準額ですが、生死が危ぶまれる状態が継続したときや、麻酔なしでの手術等極度の苦痛を被ったとき、手術を繰り返したときなどは、より高額になる可能性があります) |
休業損害 | 800万円 |
入院雑費 | 45万6000円 =1500円×304日(10ヶ月) |
治療費等 | 実費 (保険会社から直接病院に支払われることが多いです) |
交通費 | 実費 |
その他 | 参考保険金額が増額される可能性があります。 装具等購入費、家屋・自動車等改造費、将来の治療費等、近親者の付添看護費、弁護士費用、遅延損害金など |
9級2号 | 1眼の視力が0.06以下になったもの | 4949万5360円 解説を見る |
詳しい算出条件 |
後遺障害の逸失利益(後遺症) | 3078万9360円 =480万円(年収)×0.35(労働能力喪失率35%)×18.327(67歳までのライプニッツ係数) |
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後遺障害の慰謝料(後遺症) | 690万円 |
入通院慰謝料 | 335万円 (これが基準額ですが、生死が危ぶまれる状態が継続したときや、麻酔なしでの手術等極度の苦痛を被ったとき、手術を繰り返したときなどは、より高額になる可能性があります) |
休業損害 | 800万円 |
入院雑費 | 45万6000円 =1500円×304日(10ヶ月) |
治療費等 | 実費 (保険会社から直接病院に支払われることが多いです) |
交通費 | 実費 |
その他 | 参考保険金額が増額される可能性があります。 装具等購入費、家屋・自動車等改造費、将来の治療費等、近親者の付添看護費、弁護士費用、遅延損害金など |
10級1号 | 1眼の視力が0.1以下になったもの | 4025万7792円 解説を見る |
詳しい算出条件 |
後遺障害の逸失利益(後遺症) | 2375万1792円 =480万円(年収)×0.27(労働能力喪失率27%)×18.327(67歳までのライプニッツ係数) |
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後遺障害の慰謝料(後遺症) | 550万円 |
入通院慰謝料 | 335万円 (これが基準額ですが、生死が危ぶまれる状態が継続したときや、麻酔なしでの手術等極度の苦痛を被ったとき、手術を繰り返したときなどは、より高額になる可能性があります) |
休業損害 | 720万円 |
入院雑費 | 45万6000円 =1500円×304日(10ヶ月) |
治療費等 | 実費 (保険会社から直接病院に支払われることが多いです) |
交通費 | 実費 |
その他 | 参考保険金額が増額される可能性があります。 装具等購入費、家屋・自動車等改造費、将来の治療費等、近親者の付添看護費、弁護士費用、遅延損害金など |
13級1号 | 1眼の視力が0.6以下になったもの | 1220万2264円 解説を見る |
詳しい算出条件 |
後遺障害の逸失利益(後遺症) | 791万7264円 =480万円(年収)×0.09(労働能力喪失率9%)×18.327(67歳までのライプニッツ係数) |
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後遺障害の慰謝料(後遺症) | 180万円 |
入通院慰謝料 | 164万円 |
休業損害 | 80万円 |
入院雑費 | 4万5000円 =1500円×30日(1ヶ月) |
治療費等 | 実費 (保険会社から直接病院に支払われることが多いです) |
交通費 | 実費 |
その他 | 参考保険金額が増額される可能性があります。 弁護士費用、遅延損害金など |
オートレフで裸眼の状態を検査した後、万国式試視力表で裸眼視力と矯正視力を検査して、立証します。
そして、眼の外傷による視力障害であることを、スリット検査や直像鏡を使用して立証します。
これで立証できない場合は、電気生理学的検査(ERG)を受ける必要があります。
この検査は、網膜に光刺激を与えたときに現れる網膜の活動電位をグラフにして記録したもので、客観的な他覚所見が得られます。
眼球の障害ではなく、視神経損傷が疑われる場合は、視覚誘発電位検査(VEP)によって、網膜から後頭葉に至る視覚伝達路の異常を確認し、立証します。
事故と視力低下の因果関係について正確な医学的証明ができないケースで、事故の熊様、治療の経過、事故前後の視力の状況、主治医の意見をもとに、因果関係を認めた裁判例として、大阪地裁平成12年8月25日判決があります。
被害者は、交通事故で眼球を打撲して強い衝撃を受け、事故直後から左眼の視力が低下しました。
加害者側は、被害者の網膜剥離が、事故から約2年後に発症していることなどを理由に、事故と視力低下の因果関係は認められないと主張しました。
しかし、裁判所は、以下の医師の意見などを根拠に、因果関係を認めました。
・医師の意見
被害者の左眼の網膜剥離は、高度近視に伴った黄斑円孔による網膜剥離であった。高度近視では、眼底の後極部の伸展によって網膜脈絡膜の萎縮を生じ、その結果、自然に黄斑部網膜に孔(円孔)を生じて、網膜剥離が発病することがよくある。しかし、被害者は、眼球打撲を受けた後から、視力が低下しているから、強度の眼球打撲により黄斑部の網膜脈絡膜に障害を受けた蓋然性を否定できない。すなわち、左眼に強い打撲を受けたことが誘因になって、元来あった後極部の網膜脈絡膜の変性、萎縮がいっそう進行し、さらに打撲は硝子体の変化を促進し、その結果、黄斑円孔形成にまで進行した可能性がある。その意味で、被害者の場合、症状を発生する前段階があるところに、眼球に強い打撲を受け、それが発病の誘因になったと考えられる。
・もともと強い近視であったところに、眼球を打撲し、視力が低下し、組織の変性などがいっそう進行して黄斑円孔、さらには網膜剥離に至ったと考えられる。
・事故直後にたまたまほかの原因で視力が低下したと考えるより、事故による眼球打撲により視力が低下したと考えるほうが自然であり、合理的である。
・被害者が事故後約2年間眼科を受診しなかったとしても、被害者の供述によれば、視力低下が続き、徐々に症状が悪化していったことが窺えるから、突然、特発性黄斑円孔が発症したというべきではない。
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