尿失禁の後遺障害等級

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尿を漏らす、頻繁に尿意を感じる、残尿感があるなどの後遺症が残った場合の後遺障害等級、賠償金額について解説します。

認定される可能性のある後遺障害等級

ご確認前に必ずお読みください
ここでは認定される可能性のある後遺障害等級をご確認頂き、1つのケース(被害者40歳、年収480万円、被害者の過失なし)を前提に、個別事情を考えない一般的な計算方法で計算した適正な賠償金額(参考賠償金額)をご覧頂けます。しかし、参考賠償金額は、年齢や年収をはじめ、具体的な事情によっては、金額が変わるものです。

参考賠償金額については、ぜひ、「内訳」までご参照ください。特に、具体的な事情によっては、内訳にある「その他」の賠償金も認められることにより、参考賠償金額よりも実際の賠償金額が大幅に多くなるケースもあります。

ご自身の場合の賠償金額がどうなのかについては、お気軽に無料相談をご利用ください。
参考賠償金額については、治療費が含まれていません(保険会社から直接病院に支払われることが多いため)。治療費を含めれば、その分だけ大きな金額となります。また、交通費も含まれていません。
併合によって、等級が上がっている場合は、その上がった等級の参考賠償金額と内訳を参考にして下さい。併合についてはコチラをご確認ください。

40歳、会社員、年収480万円、
交通事故について被害者の過失なしの場合

等級 後遺障害 参考賠償金額
7級5号 胸腹部臓器の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの 7106万8976円

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詳しい算出条件
以下の(ⅰ)(ⅱ)のいずれかにあたる障害を残し、身体能力の低下などのため、独力では一般平均人の2分の1程度の労働能力しか残されていない状態。
(ⅰ)膀胱の括約筋機能が低下したため、尿を膀胱内に蓄えることができず、常に尿道から尿が漏れ出ているもの(持続的尿失禁)
(ⅱ)尿意を感じても便所まで我慢できずに尿が漏れたり(切迫性尿失禁)、笑ったり、せきやくしゃみ、重い荷物を持ち上げたりしたときに尿が漏れたりするため(腹圧性尿失禁)、終日尿とりパッドを装着し、パッドをしばしば交換しなければならないもの。
参考賠償金額内訳
[入院  10ヶ月 / 通院期間  10ヶ月 / 休業日数  20ヶ月]の場合
後遺障害の逸失利益(後遺症) 4926万2976円
=480万円(年収)×0.56(労働能力喪失率56%)×18.327(67歳までのライプニッツ係数)
後遺障害の慰謝料(後遺症) 1000万円
入通院慰謝料 335万円
(これが基準額ですが、生死が危ぶまれる状態が継続したときや、麻酔なしでの手術等極度の苦痛を被ったとき、手術を繰り返したときなどは、より高額になる可能性があります)
休業損害 800万円
入院雑費 45万6000円
=1500円×304日(10ヶ月)
治療費等 実費
(保険会社から直接病院に支払われることが多いです)
交通費 実費
その他 参考保険金額が増額される可能性があります。
装具等購入費、家屋・自動車等改造費、将来の治療費等、将来の雑費、近親者の付添看護費、弁護士費用、遅延損害金など
注意:この内訳は、上記のケース(40歳、年収480万円等)を前提とした場合の一般的な基準による算出結果です。 具体的な事情によっては、金額が大きく異なりうるものです。

なお、後遺障害等級7級の保険金額1051万円というのは、最低限の補償である自賠責保険による保険金額の上限です。任意保険会社に対しては、この金額を超えた請求が可能です。
9級11号 胸腹部臓器の機能に障害を残し、服することができない労務が相当な程度に制限されるもの 4949万5360円

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詳しい算出条件
以下の(ⅰ)(ⅱ)のいずれかにあたり、就労可能な職種の範囲が相当な程度に制限される状態。       
(ⅰ)膀胱の機能の障害によって、残尿が100ml以上のもの
(ⅱ)尿意を感じても便所まで我慢できずに尿が漏れたり(切迫性尿失禁)、笑ったり、せきやくしゃみ、重い荷物を持ち上げたりしたときに尿が漏れたりするため(腹圧性尿失禁)、常時尿とりパッドを装着しなければならないが、パッドの交換までは要しないもの。
参考賠償金額内訳
[入院  10ヶ月 / 通院期間  10ヶ月 / 休業日数  20ヶ月]の場合
後遺障害の逸失利益(後遺症) 3078万9360円
=480万円(年収)×0.35(労働能力喪失率35%)×18.327(67歳までのライプニッツ係数)
後遺障害の慰謝料(後遺症) 690万円
入通院慰謝料 335万円
(これが基準額ですが、生死が危ぶまれる状態が継続したときや、麻酔なしでの手術等極度の苦痛を被ったとき、手術を繰り返したときなどは、より高額になる可能性があります)
休業損害 800万円
入院雑費 45万6000円
=1500円×304日(10ヶ月)
治療費等 実費
(保険会社から直接病院に支払われることが多いです)
交通費 実費
その他 参考保険金額が増額される可能性があります。
装具等購入費、家屋・自動車等改造費、将来の治療費等、近親者の付添看護費、弁護士費用、遅延損害金など
注意:この内訳は、上記のケース(40歳、年収480万円等)を前提とした場合の一般的な基準による算出結果です。 具体的な事情によっては、金額が大きく異なりうるものです。

なお、後遺障害等級9級の保険金額616万円というのは、最低限の補償である自賠責保険による保険金額の上限です。任意保険会社に対しては、この金額を超えた請求が可能です。
11級10号 胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの 2845万3920円

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詳しい算出条件
以下の(ⅰ)~(ⅳ)のいずれかにあたり、一般的労働能力は残存しているものの、労働に支障を来す状態。
(ⅰ)膀胱の機能の障害によって、残尿が100ml以上のもの
(ⅱ)尿道が狭くなり、糸状ブジーを必要とするもの(*ブジーとは、尿道など狭い管に挿入する医療器具)
(ⅲ)尿意を感じても便所まで我慢できずに尿が漏れたり(切迫性尿失禁)、笑ったり、せきやくしゃみ、重い荷物を持ち上げたりしたときに尿が漏れたりするため(腹圧性尿失禁)、常時尿とりパッドを装着は要しないが、下着が少しぬれるもの。
(ⅳ)飲み過ぎたりしていないにもかかわらず、日中8回以上の排尿のある頻尿(膀胱の容量が減少したり、膀胱・尿道に関する神経が損傷しているもの)
参考賠償金額内訳
[入院  4ヶ月 / 通院期間  8ヶ月 / 休業日数  10ヶ月]の場合
後遺障害の逸失利益(後遺症) 1759万3920円
=480万円(年収)×0.2(労働能力喪失率20%)×18.327(67歳までのライプニッツ係数)
後遺障害の慰謝料(後遺症) 420万円
入通院慰謝料 248万円
休業損害 400万円
入院雑費 18万円
=1500円×120日(4ヶ月)
治療費等 実費
(保険会社から直接病院に支払われることが多いです)
交通費 実費
その他 参考保険金額が増額される可能性があります。
装具等購入費、家屋・自動車等改造費、将来の治療費等、近親者の付添看護費、弁護士費用、遅延損害金など
注意:この内訳は、上記のケース(40歳、年収480万円等)を前提とした場合の一般的な基準による算出結果です。 具体的な事情によっては、金額が大きく異なりうるものです。

なお、後遺障害等級11級の保険金額331万円というのは、最低限の補償である自賠責保険による保険金額の上限です。任意保険会社に対しては、この金額を超えた請求が可能です。

賠償金額について

尿失禁に関連する後遺障害につき、職業との関係で、後遺症逸失利益の労働能力喪失率が具体的に検討された事例としては、金沢地裁平成29年10月26日判決があります。

被害者は、以下の後遺障害が認定されました。

・勃起障害と陰茎皮膚感覚鈍麻による射精障害のため、9級17号

・骨盤骨の変形のため、12級5号

・後部尿道断裂後の腹圧性尿失禁の後遺障害により、終日パッド等を装着し、パッドをしばしば交換しなければならない状態となったため、7級5号

・左大腿内側部・会陰部の痺れや知覚障害等のため、12級13号

これらを併合して5級に相当する後遺障害が残存したものと判断されました。

そして、後遺症逸失利益の金額に影響する労働能力喪失率については、

射精障害と骨盤骨の変形
被害者が事故前はセールスドライバーとして荷物の集配や集金等の業務に従事しており、事故後はセールスドライバーに対する指導・管理等の業務に従事しているが、業務に直接支障を生じさせるものとは言い難く、労働能力が喪失したと評価することはできない

腹圧性尿失禁と会陰部等の痺れ
パッドを24時間使用し、パッドの交換頻度は1日3~4回程度、失禁量は1時間で70グラムといった状況であり、被害者の業務に支障を生じさせる

他方で、カルテには、「軽度、腹圧性尿失禁ありますが、排尿可能になっています。」、「自排尿は可能である。しかし時間を決めて腹圧排尿。夜もそのようにしている。」等の記載がされている。また、ゴルフの打ちっぱなしや腕立て伏せをすることが可能な状態となっている。このような状況からすれば、排尿のコントロールが全くできないほどの状態ではなく、また、一定の運動をすることは可能な状態であったということができる。

さらに、事故後に減収がないことから、減収にならないようにするための本人の努力や、勤務先の配慮を考慮したとしても、労働能力の70~80%程度を喪失するには至っていないと考えられる(*併合5級の場合、通常は79%です)。

今後、現在の勤務先において、被害者の昇進や昇給等に不利な影響を与える可能性や、被害者が勤務先を退職する可能性があることも考慮し、労働能力喪失率については60%とすることが相当であると判断されました。

この記事を書いた人
深田茂人
深田法律事務所 代表・交通事故専門弁護士
深田 茂人(ふかだ しげと)
平成17年弁護士登録。平成19年に大分市城崎町に深田法律事務所開設。 これまでに1000件以上の交通事故相談、450件以上の依頼を担当しており、特に適正な後遺障害等級の認定が得られるよう注力しています。
【主な職歴・所属】
・大分県弁護士会副会長(平成26~27年度)
・大分県労働委員会会長(令和2年~現在)
・日弁連交通事故相談センター委員
・日本交通法学会会員
・日本賠償科学会会員

 

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