交通事故と労災保険 Q&A

交通事故で労災保険を使うメリットは?

労災保険を使うと、受け取ることのできる保険金が多くなります。
少しややこしくなりますが、それは、以下の理由によるものです。
まず、労災保険は、被害者側の保険(お勤めの会社が保険料を支払っています)なので、交通事故について被害者に過失があっても、過失相殺されません。

また、労災保険では、治療費が全額、労災保険によって支払われるので、自賠責保険の傷害の保険金額の上限である120万円を有効に利用できます。

さらに、労災保険では、休業損害について、平均賃金の60%に相当する休業補償給付と、20%に相当する休業特別支給金の支給を受けることができます。そして、加害者側の保険(加害者側が保険を支払っている任意保険や自賠責保険)から受け取れる休業損害の賠償金は、休業補償給付が差し引かれますが(損害賠償の二重取りにならないようにするためです)、休業特別支給金は差し引かれないことになっています。よって、実際の休業による損害よりも多くの金額が支給されることになります。

具体的には、労災保険を使った方が、下の表のように、被害者の手元に残る金額が多くなります。

被害者の過失が30%の場合

労災保険を使わない場合 労災保険を使った場合
治療費
仮に診療報酬点数が10万点の治療を受けたとします。
200万円

10万点×20円を全額負担
詳しくはこちら
0円

10万点×12円
が保険で支払われるので。
詳しくはこちら
入通院慰謝料
入通院の苦痛
による損害の賠償
仮に40万円とします 仮に40万円とします
休業損害
治療のため仕事が
できなかった損害の賠償
仮に60万円とします 仮に60万円とします
損害額合計
治療費+入通院慰謝料+休業損害
300万円

200万円+40万円+60万円
100万円

0円+40万円+60万円
受け取る保険金
(自賠責保険金を含む)
300万円×70%=210万円

被害者の過失が30%なので、損害額合計210万円の70%の保険金を受け取る。

▼自賠責保険 0円

自賠責保険については、傷害による損害の上限額である120万円をすでに超えているので、支給はありません。
112万円
労災保険からの48万円+自賠責保険からの64万円

【内訳】
▼労災保険 48万円

休業損害60万円のうち60%に相当する36万円(休業補償給付)

20%に相当する12万円(休業特別支給金)
合計48万円が支給されます。
※労災保険は自分側の保険なので、過失相殺はありません。

▼自賠責保険 64万円
休業損害60万円と入通院慰謝料40万円の合計100万円から労災保険ですでに受け取っている休業補償給付36万円が差し引かれます。

休業損害額合計(100万円)-労災保険(休業補償給付36万円)

※休業特別支給金は差し引かれないことになっています。 ※自賠責保険では、被害者救済の理念から、30%程度の過失では、過失相殺されないことになっています。
病院に支払う金額
上の欄の治療費
200万円 0万円
被害者の手元に残る金額 210万円-200万円=10万円 112万円-0円=112万円
この記事を書いた人
深田茂人
深田法律事務所 代表・交通事故専門弁護士
深田 茂人(ふかだ しげと)
平成17年弁護士登録。平成19年に大分市城崎町に深田法律事務所開設。 これまでに1000件以上の交通事故相談、450件以上の依頼を担当しており、特に適正な後遺障害等級の認定が得られるよう注力しています。
【主な職歴・所属】
・大分県弁護士会副会長(平成26~27年度)
・大分県労働委員会会長(令和2年~現在)
・日弁連交通事故相談センター委員
・日本交通法学会会員
・日本賠償科学会会員

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