尿を漏らす、頻繁に尿意を感じる、残尿感があるなどの後遺症が残った場合の後遺障害等級、賠償金額について解説します。
40歳、会社員、年収480万円、
交通事故について被害者の過失なしの場合
等級 | 後遺障害 | 参考賠償金額 |
7級5号 | 胸腹部臓器の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの | 7106万8976円 解説を見る |
詳しい算出条件 |
後遺障害の逸失利益(後遺症) | 4926万2976円 =480万円(年収)×0.56(労働能力喪失率56%)×18.327(67歳までのライプニッツ係数) |
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後遺障害の慰謝料(後遺症) | 1000万円 |
入通院慰謝料 | 335万円 (これが基準額ですが、生死が危ぶまれる状態が継続したときや、麻酔なしでの手術等極度の苦痛を被ったとき、手術を繰り返したときなどは、より高額になる可能性があります) |
休業損害 | 800万円 |
入院雑費 | 45万6000円 =1500円×304日(10ヶ月) |
治療費等 | 実費 (保険会社から直接病院に支払われることが多いです) |
交通費 | 実費 |
その他 | 参考保険金額が増額される可能性があります。 装具等購入費、家屋・自動車等改造費、将来の治療費等、将来の雑費、近親者の付添看護費、弁護士費用、遅延損害金など |
9級11号 | 胸腹部臓器の機能に障害を残し、服することができない労務が相当な程度に制限されるもの | 4949万5360円 解説を見る |
詳しい算出条件 |
後遺障害の逸失利益(後遺症) | 3078万9360円 =480万円(年収)×0.35(労働能力喪失率35%)×18.327(67歳までのライプニッツ係数) |
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後遺障害の慰謝料(後遺症) | 690万円 |
入通院慰謝料 | 335万円 (これが基準額ですが、生死が危ぶまれる状態が継続したときや、麻酔なしでの手術等極度の苦痛を被ったとき、手術を繰り返したときなどは、より高額になる可能性があります) |
休業損害 | 800万円 |
入院雑費 | 45万6000円 =1500円×304日(10ヶ月) |
治療費等 | 実費 (保険会社から直接病院に支払われることが多いです) |
交通費 | 実費 |
その他 | 参考保険金額が増額される可能性があります。 装具等購入費、家屋・自動車等改造費、将来の治療費等、近親者の付添看護費、弁護士費用、遅延損害金など |
11級10号 | 胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの | 2845万3920円 解説を見る |
詳しい算出条件 |
後遺障害の逸失利益(後遺症) | 1759万3920円 =480万円(年収)×0.2(労働能力喪失率20%)×18.327(67歳までのライプニッツ係数) |
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後遺障害の慰謝料(後遺症) | 420万円 |
入通院慰謝料 | 248万円 |
休業損害 | 400万円 |
入院雑費 | 18万円 =1500円×120日(4ヶ月) |
治療費等 | 実費 (保険会社から直接病院に支払われることが多いです) |
交通費 | 実費 |
その他 | 参考保険金額が増額される可能性があります。 装具等購入費、家屋・自動車等改造費、将来の治療費等、近親者の付添看護費、弁護士費用、遅延損害金など |
尿失禁に関連する後遺障害につき、職業との関係で、後遺症逸失利益の労働能力喪失率が具体的に検討された事例としては、金沢地裁平成29年10月26日判決があります。
被害者は、以下の後遺障害が認定されました。
・勃起障害と陰茎皮膚感覚鈍麻による射精障害のため、9級17号
・骨盤骨の変形のため、12級5号
・後部尿道断裂後の腹圧性尿失禁の後遺障害により、終日パッド等を装着し、パッドをしばしば交換しなければならない状態となったため、7級5号
・左大腿内側部・会陰部の痺れや知覚障害等のため、12級13号
これらを併合して5級に相当する後遺障害が残存したものと判断されました。
そして、後遺症逸失利益の金額に影響する労働能力喪失率については、
・射精障害と骨盤骨の変形
被害者が事故前はセールスドライバーとして荷物の集配や集金等の業務に従事しており、事故後はセールスドライバーに対する指導・管理等の業務に従事しているが、業務に直接支障を生じさせるものとは言い難く、労働能力が喪失したと評価することはできない。
・腹圧性尿失禁と会陰部等の痺れ
パッドを24時間使用し、パッドの交換頻度は1日3~4回程度、失禁量は1時間で70グラムといった状況であり、被害者の業務に支障を生じさせる。
他方で、カルテには、「軽度、腹圧性尿失禁ありますが、排尿可能になっています。」、「自排尿は可能である。しかし時間を決めて腹圧排尿。夜もそのようにしている。」等の記載がされている。また、ゴルフの打ちっぱなしや腕立て伏せをすることが可能な状態となっている。このような状況からすれば、排尿のコントロールが全くできないほどの状態ではなく、また、一定の運動をすることは可能な状態であったということができる。
さらに、事故後に減収がないことから、減収にならないようにするための本人の努力や、勤務先の配慮を考慮したとしても、労働能力の70~80%程度を喪失するには至っていないと考えられる(*併合5級の場合、通常は79%です)。
今後、現在の勤務先において、被害者の昇進や昇給等に不利な影響を与える可能性や、被害者が勤務先を退職する可能性があることも考慮し、労働能力喪失率については60%とすることが相当であると判断されました。
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