橈骨頭・頚部骨折の後遺障害等級

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前腕(手首からひじまで)には、2本の骨があり、そのうちの親指側の骨を橈骨(とうこつ)といいます。
橈骨頭・頚部骨折(とうこっとう・けいぶこっせつ)は、橈骨のひじに近い部分の骨折です。

腕を真っ直ぐに伸ばして手を下にした状態で、手を地面につくと生じやすく、自動二輪車を運転中の事故で怪我をしたときに多いです。

橈骨頭・頚部骨折のために、ひじを曲げたり、伸ばしたりしにくくなった、または、手のひらを上に向けたり、下に向けたりしにくくなった後遺症が残った場合の後遺障害等級、賠償金額、後遺障害の立証方法について解説します。

認定される可能性のある後遺障害等級

ご確認前に必ずお読みください
ここでは認定される可能性のある後遺障害等級をご確認頂き、1つのケース(被害者40歳、年収480万円、被害者の過失なし)を前提に、個別事情を考えない一般的な計算方法で計算した適正な賠償金額(参考賠償金額)をご覧頂けます。しかし、参考賠償金額は、年齢や年収をはじめ、具体的な事情によっては、金額が変わるものです。

参考賠償金額については、ぜひ、「内訳」までご参照ください。特に、具体的な事情によっては、内訳にある「その他」の賠償金も認められることにより、参考賠償金額よりも実際の賠償金額が大幅に多くなるケースもあります。

ご自身の場合の賠償金額がどうなのかについては、お気軽に無料相談をご利用ください。
参考賠償金額については、治療費が含まれていません(保険会社から直接病院に支払われることが多いため)。治療費を含めれば、その分だけ大きな金額となります。また、交通費も含まれていません。
併合によって、等級が上がっている場合は、その上がった等級の参考賠償金額と内訳を参考にして下さい。併合についてはコチラをご確認ください。

40歳、会社員、年収480万円、
交通事故について被害者の過失なしの場合

等級 後遺障害 参考賠償金額
10級10号 1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの 4025万7792円

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詳しい算出条件
肩の関節の動かせる範囲が2分の1以下になった状態
参考賠償金額内訳
[入院  10ヶ月 / 通院期間  10ヶ月 / 休業日数  18ヶ月]の場合
後遺障害の逸失利益(後遺症) 2375万1792円
=480万円(年収)×0.27(労働能力喪失率27%)×18.327(67歳までのライプニッツ係数)
後遺障害の慰謝料(後遺症) 550万円
入通院慰謝料 335万円
(これが基準額ですが、生死が危ぶまれる状態が継続したときや、麻酔なしでの手術等極度の苦痛を被ったとき、手術を繰り返したときなどは、より高額になる可能性があります)
休業損害 720万円
入院雑費 45万6000円
=1500円×304日(10ヶ月)
治療費等 実費
(保険会社から直接病院に支払われることが多いです)
交通費 実費
その他 参考保険金額が増額される可能性があります。
装具等購入費、家屋・自動車等改造費、将来の治療費等、近親者の付添看護費、弁護士費用、遅延損害金など
注意:この内訳は、上記のケース(40歳、年収480万円等)を前提とした場合の一般的な基準による算出結果です。 具体的な事情によっては、金額が大きく異なりうるものです。

なお、後遺障害等級10級の保険金額461万円というのは、最低限の補償である自賠責保険による保険金額の上限です。任意保険会社に対しては、この金額を超えた請求が可能です。
12級6号 1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの 1770万744円

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詳しい算出条件
肩の関節を動かせる範囲が4分の3以下になってしまった状態
参考賠償金額内訳
[入院  1ヶ月 / 通院期間  8ヶ月 / 休業日数  2ヶ月]の場合
後遺障害の逸失利益(後遺症) 1231万5744円
=480万円(年収)×0.14(労働能力喪失率14%)×18.327(67歳までのライプニッツ係数)
後遺障害の慰謝料(後遺症) 290万円
入通院慰謝料 164万円
休業損害 80万円
入院雑費 4万5000円
=1500円×30日(1ヶ月)
治療費等 実費
(保険会社から直接病院に支払われることが多いです)
交通費 実費
その他 参考保険金額が増額される可能性があります。
装具等購入費、家屋・自動車等改造費、将来の治療費等、弁護士費用、遅延損害金など
注意:この内訳は、上記のケース(40歳、年収480万円等)を前提とした場合の一般的な基準による算出結果です。 具体的な事情によっては、金額が大きく異なりうるものです。

なお、後遺障害等級12級の保険金額224万円というのは、最低限の補償である自賠責保険による保険金額の上限です。任意保険会社に対しては、この金額を超えた請求が可能です。

後遺障害等級認定のための立証方法

単純レントゲン撮影で比較的容易に立証できます。
靭帯の損傷を伴う場合などは、MRI撮影や関節鏡検査などで立証します。

腕を動かしづらい後遺症の場合、原則として可動域制限の程度によって等級が認定されます。
例外的ではありますが、職業なども考慮に入れて等級が認定されているケースもあります。

京都地裁平成14年9月26日判決は、交通事故による右橈骨骨折、右尺骨骨折の傷害を負った事例で、可動域が4分の3に制限されていない後遺症に対し、職業の特殊性を考慮して12級を認定しています。

その理由として、

被害者が鍼灸院を開業しており、鍼灸師として週3日、1日当たり約2,3名の患者に対し片手挿管法による鍼灸治療を行っていたこと
(*片手挿管法は、基本的な手法で、右手回内位で鍼の柄を拇指・示指で鍼を抜き、回外しながら鍼柄を鍼管に入れ、右手の示指・中指の間に鍼を挟み、鍼柄を鍼管から少し出しながら示指腹の方へ移動させ、右の示指腹と拇指で鍼管、鍼管口を同時に挟む手順で行われ、手の動きで手掌を完全に上にしながらこの操作を行い、さらに臨床では患者の状態により様々な姿勢で鍼治療の施術をする必要がある)

鍼灸大学付属病院整形外科医学博士が、被害者の右手関節や前腕の軽度の可動域制限が専門的職業としての技術の阻害となり、また上肢機能障害が症状固定後も悪化していることは、橈骨尺骨間の骨間膜の瘢痕拘縮が原因で、今後改善の見込みはないとの意見を披瀝していること

などを挙げています。

等級の認定にあたって、根拠に基づいた医師の意見が有効な証拠になるケースはとても多いです。

この記事を書いた人
深田茂人
深田法律事務所 代表・交通事故専門弁護士
深田 茂人(ふかだ しげと)
平成17年弁護士登録。平成19年に大分市城崎町に深田法律事務所開設。 これまでに1000件以上の交通事故相談、450件以上の依頼を担当しており、特に適正な後遺障害等級の認定が得られるよう注力しています。
【主な職歴・所属】
・大分県弁護士会副会長(平成26~27年度)
・大分県労働委員会会長(令和2年~現在)
・日弁連交通事故相談センター委員
・日本交通法学会会員
・日本賠償科学会会員

 

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