脊髄損傷の後遺障害等級

  • 後遺症が残る体の部位を選択
  • 後遺症を選択
  • 後遺障害等級を調べる

脊髄(せきずい)とは、背骨の中にある神経の束のことです。
上部で脳とつながっており、背骨の複数の箇所から身体の各部へ神経が出ています(全長は成人で約44㎝あります)。

脊髄は、脳と身体の部分を結んで情報を伝達する役割をもっています。
脊髄が損傷すると、神経の情報伝達の役割が損なわれ、麻痺が生じ、身体を動かせなくなったり、感覚がなくなったりします。

後遺障害等級は、以下のような、麻痺の範囲と程度に応じて認定されることとなります。
*ここでは、「腕」は肩より下、「あし」は股より下を意味します。

高度の四肢麻痺:両腕も両あしも麻痺し、物を持ち上げて移動させたり、立ったり歩いたりできないもの。

高度の対麻痺:両腕または両あしが麻痺し、物を持ち上げて移動させたり、または、立ったり歩いたりできないもの。

中等度の四肢麻痺:両腕も両あしも麻痺し、片方の手では、文字を書いたり、概ね500gの物を持ち上げたりできず、また、杖や硬性装具なしには、階段を上れなかったり、歩くことが困難なもの。

中等度の対麻痺:両腕または両あしが麻痺し、片方の手では、文字を書いたり、概ね500gの物を持ち上げたりできず、または、杖や硬性装具なしには、階段を上れなかったり、歩くことが困難なもの。

軽度の四肢麻痺:両腕も両あしも麻痺し、片方の腕では文字を書くことに困難を伴ったり、一人で歩けるものの、遅かったり、不安定で転倒しやすかったりし、杖や硬性装具なしには階段を上ることができないもの。

軽度の対麻痺:両腕または両あしが麻痺し、片方の腕では文字を書くことに困難を伴ったり、または、一人で歩けるものの、遅かったり、不安定で転倒しやすかったりし、杖や硬性装具なしには階段を上ることができないもの。

脊髄損傷のために、腕やあしが麻痺して、十分に動かすことができなかったり、感覚がない、排尿や排便に支障があるなどの後遺症が残った場合の後遺障害等級、賠償金額、後遺障害の立証方法について解説します。

認定される可能性のある後遺障害等級

ご確認前に必ずお読みください
ここでは認定される可能性のある後遺障害等級をご確認頂き、1つのケース(被害者40歳、年収480万円、被害者の過失なし)を前提に、個別事情を考えない一般的な計算方法で計算した適正な賠償金額(参考賠償金額)をご覧頂けます。しかし、参考賠償金額は、年齢や年収をはじめ、具体的な事情によっては、金額が変わるものです。

参考賠償金額については、ぜひ、「内訳」までご参照ください。特に、具体的な事情によっては、内訳にある「その他」の賠償金も認められることにより、参考賠償金額よりも実際の賠償金額が大幅に多くなるケースもあります。

ご自身の場合の賠償金額がどうなのかについては、お気軽に無料相談をご利用ください。
参考賠償金額については、治療費が含まれていません(保険会社から直接病院に支払われることが多いため)。治療費を含めれば、その分だけ大きな金額となります。また、交通費も含まれていません。
併合によって、等級が上がっている場合は、その上がった等級の参考賠償金額と内訳を参考にして下さい。併合についてはコチラをご確認ください。

40歳、会社員、年収480万円、
交通事故について被害者の過失なしの場合

等級 後遺障害 参考賠償金額
1級1号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの 数億円となる可能性があります

解説を見る

詳しい算出条件
以下のいずれかにあたるもの。
(a)高度の四肢麻痺
(b)高度の対麻痺
(c)中等度の四肢麻痺であって、食事・入浴・用便・着替え等について常時介護を要するもの。
(d)中等度の対麻痺であって、食事・入浴・用便・着替え等について常時介護を要するもの。
参考賠償金額内訳
[入院  20ヶ月 / 通院期間  - / 休業日数  20ヶ月]の場合
後遺障害の逸失利益(後遺症) 8796万9600円
=480万円(年収)×1(労働能力喪失率100%)×18.327(67歳までのライプニッツ係数)
後遺障害の慰謝料(後遺症) 2800万円
(*別に近親者の慰謝料も支払われる可能性があります)
入通院慰謝料 370万円
(これが基準額ですが、生死が危ぶまれる状態が継続したときや、麻酔なしでの手術等極度の苦痛を被ったとき、手術を繰り返したときなどは、より高額になる可能性があります)
休業損害 800万円
入院雑費 91万2000円
=1500円×608日(20ヶ月)
治療費等 実費
(保険会社から直接病院に支払われることが多いです)
交通費 実費
将来介護費 数千万円~1億円以上となることがあります。
その他 数千万円以上となることがあります。
装具等購入費、家屋・自動車等改造費、将来の治療費等、将来の雑費、近親者の慰謝料、近親者の付添看護費・自宅付添費、弁護士費用、遅延損害金など
注意:

この内訳は、上記のケース(40歳、年収480万円等)を前提とした場合の一般的な基準による算出結果です。 具体的な事情によっては、金額が大きく異なりうるものです。

なお、後遺障害等級1級(後遺障害別等級表別表第1)の保険金額4,000万円というのは、最低限の補償である自賠責保険による保険金額の上限です。任意保険会社に対しては、この金額を超えた請求が可能です。

2級1号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの 1億円以上となる可能性があります

解説を見る

詳しい算出条件
以下のいずれかにあたるもの。
(a)中等度の四肢麻痺
(b)軽度の四肢麻痺であって、食事・入浴・用便・着替え等について随時介護を要するもの
(c)中等度の対麻痺であって、食事・入浴・用便・着替え等について随時介護を要するもの。
参考賠償金額内訳
[入院  20ヶ月 / 通院期間  - / 休業日数  20ヶ月]の場合
後遺障害の逸失利益(後遺症) 8796万9600円
=480万円(年収)×1(労働能力喪失率100%)×18.327(67歳までのライプニッツ係数)
後遺障害の慰謝料(後遺症) 2370万円
(*別に近親者の慰謝料も支払われる可能性があります)
入通院慰謝料 370万円
(これが基準額ですが、生死が危ぶまれる状態が継続したときや、麻酔なしでの手術等極度の苦痛を被ったとき、手術を繰り返したときなどは、より高額になる可能性があります)
休業損害 800万円
入院雑費 91万2000円
=1500円×608日(20ヶ月)
治療費等 実費
(保険会社から直接病院に支払われることが多いです)
交通費 実費
将来介護費 数千万円以上となることがあります。
その他 数千万円以上となることがあります。
装具等購入費、家屋・自動車等改造費、将来の治療費等、将来の雑費、近親者の慰謝料、近親者の付添看護費・自宅付添費、弁護士費用、遅延損害金など
注意:この内訳は、上記のケース(40歳、年収480万円等)を前提とした場合の一般的な基準による算出結果です。 具体的な事情によっては、金額が大きく異なりうるものです。

なお、後遺障害等級2級(後遺障害別等級表別表第1)の保険金額3,000万円というのは、最低限の補償である自賠責保険による保険金額の上限です。任意保険会社に対しては、この金額を超えた請求が可能です。
3級3号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
1億円以上となる可能性があります

解説を見る

詳しい算出条件
以下のいずれかにあたるもの。
(a)軽度の四肢麻痺
(b)中等度の対麻痺
参考賠償金額内訳
[入院  10ヶ月 / 通院期間  10ヶ月 / 休業日数  20ヶ月]の場合
後遺障害の逸失利益(後遺症) 8796万9600円
=480万円(年収)×1(労働能力喪失率100%)×18.327(67歳までのライプニッツ係数)
後遺障害の慰謝料(後遺症) 1990万円
入通院慰謝料 335万円
(これが基準額ですが、生死が危ぶまれる状態が継続したときや、麻酔なしでの手術等極度の苦痛を被ったとき、手術を繰り返したときなどは、より高額になる可能性があります)
休業損害 800万円
入院雑費 45万6000円
=1500円×304日(10ヶ月)
治療費等 実費
(保険会社から直接病院に支払われることが多いです)
交通費 実費
将来介護費 数千万円以上が認められる可能性もあります(特に、高次脳機能障害の被害者につき、身体介護の必要性が少ない場合でも、見守り、声掛けのための付添・介護の必要性から、将来介護費が認められることがあります)。
その他 参考保険金額が増額される可能性があります。
装具等購入費、家屋・自動車等改造費、将来の治療費等、将来の雑費、近親者の付添看護費・自宅付添費、弁護士費用、遅延損害金など
注意:この内訳は、上記のケース(40歳、年収480万円等)を前提とした場合の一般的な基準による算出結果です。 具体的な事情によっては、金額が大きく異なりうるものです。

なお、後遺障害等級3級の保険金額2,219万円というのは、最低限の補償である自賠責保険による保険金額の上限です。任意保険会社に対しては、この金額を超えた請求が可能です。
5級2号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの 1億円以上となる可能性があります

解説を見る

詳しい算出条件
以下のいずれかにあたるもの。
(a)軽度の対麻痺
(b)片方のあしが麻痺し、立ったり歩いたりできないもの
参考賠償金額内訳
[入院  10ヶ月 / 通院期間  10ヶ月 / 休業日数  20ヶ月]の場合
後遺障害の逸失利益(後遺症) 6949万5984円
=480万円(年収)×0.79(労働能力喪失率79%)×18.327(67歳までのライプニッツ係数)
後遺障害の慰謝料(後遺症) 1400万円
入通院慰謝料 335万円
(これが基準額ですが、生死が危ぶまれる状態が継続したときや、麻酔なしでの手術等極度の苦痛を被ったとき、手術を繰り返したときなどは、より高額になる可能性があります)
休業損害 800万円
入院雑費 45万6000円
=1500円×304日(10ヶ月)
治療費等 実費
(保険会社から直接病院に支払われることが多いです)
交通費 実費
将来介護費 数千万円以上が認められる可能性もあります(特に、高次脳機能障害の被害者につき、身体介護の必要性が少ない場合でも、見守り、声掛けのための付添・介護の必要性から、将来介護費が認められることがあります)。
その他 参考保険金額が増額される可能性があります。
装具等購入費、家屋・自動車等改造費、将来の治療費等、将来の雑費、近親者の付添看護費・自宅付添費、弁護士費用、遅延損害金など
注意:この内訳は、上記のケース(40歳、年収480万円等)を前提とした場合の一般的な基準による算出結果です。 具体的な事情によっては、金額が大きく異なりうるものです。

なお、後遺障害等級5級の保険金額1574万円というのは、最低限の補償である自賠責保険による保険金額の上限です。任意保険会社に対しては、この金額を超えた請求が可能です。
7級4号 神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの 7106万8976円

解説を見る

詳しい算出条件
片方のあしが麻痺し、杖や硬性装具なしには、階段を上れなかったり、歩くことが困難なもの(中等度の単麻痺)。
参考賠償金額内訳
[入院  10ヶ月 / 通院期間  10ヶ月 / 休業日数  20ヶ月]の場合
後遺障害の逸失利益(後遺症) 4926万2976円
=480万円(年収)×0.56(労働能力喪失率56%)×18.327(67歳までのライプニッツ係数)
後遺障害の慰謝料(後遺症) 1000万円
入通院慰謝料 335万円
(これが基準額ですが、生死が危ぶまれる状態が継続したときや、麻酔なしでの手術等極度の苦痛を被ったとき、手術を繰り返したときなどは、より高額になる可能性があります)
休業損害 800万円
入院雑費 45万6000円
=1500円×304日(10ヶ月)
治療費等 実費
(保険会社から直接病院に支払われることが多いです)
交通費 実費
その他 参考保険金額が増額される可能性があります。
装具等購入費、家屋・自動車等改造費、将来の治療費等、将来の雑費、近親者の付添看護費、弁護士費用、遅延損害金など
注意:この内訳は、上記のケース(40歳、年収480万円等)を前提とした場合の一般的な基準による算出結果です。 具体的な事情によっては、金額が大きく異なりうるものです。

なお、後遺障害等級7級の保険金額1051万円というのは、最低限の補償である自賠責保険による保険金額の上限です。任意保険会社に対しては、この金額を超えた請求が可能です。
9級10号 神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができない労務が相当な程度に制限されるもの 4949万5360円

解説を見る

詳しい算出条件
片方のあしが麻痺し、一人で歩けるものの、遅かったり、不安定で転倒しやすかったりし、杖や硬性装具なしには階段を上ることができないもの(軽度の単麻痺)。
参考賠償金額内訳
[入院  10ヶ月 / 通院期間  10ヶ月 / 休業日数  20ヶ月]の場合
後遺障害の逸失利益(後遺症) 3078万9360円
=480万円(年収)×0.35(労働能力喪失率35%)×18.327(67歳までのライプニッツ係数)
後遺障害の慰謝料(後遺症) 690万円
入通院慰謝料 335万円
(これが基準額ですが、生死が危ぶまれる状態が継続したときや、麻酔なしでの手術等極度の苦痛を被ったとき、手術を繰り返したときなどは、より高額になる可能性があります)
休業損害 800万円
入院雑費 45万6000円
=1500円×304日(10ヶ月)
治療費等 実費
(保険会社から直接病院に支払われることが多いです)
交通費 実費
その他 参考保険金額が増額される可能性があります。
装具等購入費、家屋・自動車等改造費、将来の治療費等、近親者の付添看護費、弁護士費用、遅延損害金など
注意:この内訳は、上記のケース(40歳、年収480万円等)を前提とした場合の一般的な基準による算出結果です。 具体的な事情によっては、金額が大きく異なりうるものです。

なお、後遺障害等級9級の保険金額616万円というのは、最低限の補償である自賠責保険による保険金額の上限です。任意保険会社に対しては、この金額を超えた請求が可能です。
12級13号 局部に頑固な神経症状を残すもの 1770万744円

解説を見る

詳しい算出条件
麻痺等の神経症状を残す障害の存在が医学的に証明できるもの(自覚症状に一致する外傷性の画像所見と神経学的所見の両方が認められるもの)等
参考賠償金額内訳
[入院  1ヶ月 / 通院期間  8ヶ月 / 休業日数  2ヶ月]の場合
後遺障害の逸失利益(後遺症) 1231万5744円
=480万円(年収)×0.14(労働能力喪失率14%)×18.327(67歳までのライプニッツ係数)
後遺障害の慰謝料(後遺症) 290万円
入通院慰謝料 164万円
休業損害 80万円
入院雑費 4万5000円
=1500円×30日(1ヶ月)
治療費等 実費
(保険会社から直接病院に支払われることが多いです)
交通費 実費
その他 参考保険金額が増額される可能性があります。
装具等購入費、家屋・自動車等改造費、将来の治療費等、弁護士費用、遅延損害金など
注意:この内訳は、上記のケース(40歳、年収480万円等)を前提とした場合の一般的な基準による算出結果です。 具体的な事情によっては、金額が大きく異なりうるものです。

なお、後遺障害等級12級の保険金額224万円というのは、最低限の補償である自賠責保険による保険金額の上限です。任意保険会社に対しては、この金額を超えた請求が可能です。

後遺障害等級認定のための立証方法

脊髄損傷の後遺障害は、事故状況、症状の経過、病院での検査で立証します。


まず、およそ脊髄が損傷するとは考えられない事故状況の場合、後遺障害が認められない可能性があります。


たとえば、極めて低速での車同士の接触事故の場合などです。


症状の経過は、「受傷後48~72時間以内に発症するか、増悪し、以降は可逆性部分については軽快傾向をとる。」(平林冽「交通事故による後遺障害の諸問題-脊椎・脊髄を中心に-」賠償科学37号26頁)とされています。


そのため、事故から時間が経過して症状を訴え始めたような場合は、後遺障害が認められない可能性があります。


また、高松高裁平成13年7月26日判決は「被控訴人の症状及び訴えは、時間的経過とともに徐々に多彩になり、より悪化するという経過をたどっている」ことを理由に、脊髄損傷の後遺障害を認めませんでした。


病院での検査による立証方法として、MRIやCTなどの画像検査、筋力検査や痛覚検査などの神経学的検査があります。


MRIで脊髄内に輝度変化が認められなければ、脊髄損傷の後遺障害が否定される可能性があります(富山地裁平成22年7月15日判決は「MRI画像において、頚髄内輝度変化が全く認められていない」ことを頚髄損傷を否定する事情として挙げています)。


また、MRIで輝度変化が認められる脊髄の位置から症状が出るとされる身体の場所(神経の支配領域)に、筋力低下や感覚異常など症状が認められなければ、脊髄損傷の後遺障害が認められない可能性があります。

この記事を書いた人
深田茂人
深田法律事務所 代表・交通事故専門弁護士
深田 茂人(ふかだ しげと)
平成17年弁護士登録。平成19年に大分市城崎町に深田法律事務所開設。 これまでに1000件以上の交通事故相談、450件以上の依頼を担当しており、特に適正な後遺障害等級の認定が得られるよう注力しています。
【主な職歴・所属】
・大分県弁護士会副会長(平成26~27年度)
・大分県労働委員会会長(令和2年~現在)
・日弁連交通事故相談センター委員
・日本交通法学会会員
・日本賠償科学会会員

 

併せてこちらのページもお役立て下さい

胸郭出口症候群(TOS)の後遺障害等級

ムチウチの後遺障害等級

上腕神経叢麻痺の後遺障害等級

坐骨神経麻痺の後遺障害等級

後遺症の内容から後遺障害等級を調べる

腕の後遺障害等級

脚(太もも・すね)の後遺障害等級

後遺障害等級の認定が適正か分からない方へ

弁護士が後遺障害の認定に注力する理由・方法

 

 

ご相談・お問い合わせはこちら

解決実績とお客様の声をご紹介します。
  • 解決実績
  • お客様の声

大分県の交通事故被害者様のご相談(無料)を広く承っております。

地図

大分市、別府市、中津市、日田市、佐伯市、臼杵市、津久見市、竹田市、豊後高田市、杵築市、宇佐市、豊後大野市、由布市、国東市、東国東郡 姫島村、速見郡 日出町、玖珠郡 九重町、玖珠町

交通事故に関する示談金・後遺障害等級など、どうぞお気軽にご相談ください。