歯を失い、義歯、クラウン、ブリッジなどの人工物で修復した場合の後遺障害等級、賠償金額について解説します。
後遺障害等級が認定される「歯科補綴」とは、歯を喪失または著しく欠損して、義歯やクラウン、ブリッジなどの人工物で補った状態をいいます。
大人の歯、つまり永久歯は、上下それぞれ14の計28歯です。
親知らずを含めれば、上下それぞれ16の計32歯ですが、親知らずを喪失しても、基本的に後遺障害の対象にはなりません。
同じく、子どもの歯、つまり乳歯を喪失しても、基本的に後遺障害の対象にはなりません。
入れ歯やブリッジ等を補った場合の支台冠又は鈎の装着歯やポスト・インレーを行うに留まっている歯は、喪失または著しく欠損したとまではいえませんので、これらの歯については歯科補綴を加えた数には加えられません。
歯の後遺障害診断には、専用の後遺障害診断書を使用します。
40歳、会社員、年収480万円、
交通事故について被害者の過失なしの場合
等級 | 後遺障害 | 参考賠償金額 |
10級4号 | 14歯以上に対し歯科補綴を加えたもの | 4025万7792円 解説を見る |
詳しい算出条件 |
後遺障害の逸失利益(後遺症) | 2375万1792円 =480万円(年収)×0.27(労働能力喪失率27%)×18.327(67歳までのライプニッツ係数) |
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後遺障害の慰謝料(後遺症) | 550万円 |
入通院慰謝料 | 335万円 (これが基準額ですが、生死が危ぶまれる状態が継続したときや、麻酔なしでの手術等極度の苦痛を被ったとき、手術を繰り返したときなどは、より高額になる可能性があります) |
休業損害 | 720万円 |
入院雑費 | 45万6000円 =1500円×304日(10ヶ月) |
治療費等 | 実費 (保険会社から直接病院に支払われることが多いです) |
交通費 | 実費 |
その他 | 参考保険金額が増額される可能性があります。 装具等購入費、家屋・自動車等改造費、将来の治療費等、近親者の付添看護費、弁護士費用、遅延損害金など |
11級4号 | 10歯以上に対し歯科補綴を加えたもの | 2845万3920円 解説を見る |
詳しい算出条件 |
後遺障害の逸失利益(後遺症) | 1759万3920円 =480万円(年収)×0.2(労働能力喪失率20%)×18.327(67歳までのライプニッツ係数) |
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後遺障害の慰謝料(後遺症) | 420万円 |
入通院慰謝料 | 248万円 |
休業損害 | 400万円 |
入院雑費 | 18万円 =1500円×120日(4ヶ月) |
治療費等 | 実費 (保険会社から直接病院に支払われることが多いです) |
交通費 | 実費 |
その他 | 参考保険金額が増額される可能性があります。 装具等購入費、家屋・自動車等改造費、将来の治療費等、近親者の付添看護費、弁護士費用、遅延損害金など |
12級3号 | 7歯以上に対し歯科補綴を加えたもの | 1770万744円 解説を見る |
詳しい算出条件 |
後遺障害の逸失利益(後遺症) | 1231万5744円 =480万円(年収)×0.14(労働能力喪失率14%)×18.327(67歳までのライプニッツ係数) |
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後遺障害の慰謝料(後遺症) | 290万円 |
入通院慰謝料 | 164万円 |
休業損害 | 80万円 |
入院雑費 | 4万5000円 =1500円×30日(1ヶ月) |
治療費等 | 実費 (保険会社から直接病院に支払われることが多いです) |
交通費 | 実費 |
その他 | 参考保険金額が増額される可能性があります。 装具等購入費、家屋・自動車等改造費、将来の治療費等、弁護士費用、遅延損害金など |
13級5号 | 5歯以上に対し歯科補綴を加えたもの | 1220万2264円 解説を見る |
詳しい算出条件 |
後遺障害の逸失利益(後遺症) | 791万7264円 =480万円(年収)×0.09(労働能力喪失率9%)×18.327(67歳までのライプニッツ係数) |
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後遺障害の慰謝料(後遺症) | 180万円 |
入通院慰謝料 | 164万円 |
休業損害 | 80万円 |
入院雑費 | 4万5000円 =1500円×30日(1ヶ月) |
治療費等 | 実費 (保険会社から直接病院に支払われることが多いです) |
交通費 | 実費 |
その他 | 参考保険金額が増額される可能性があります。 弁護士費用、遅延損害金など |
14級2号 | 3歯以上に対し歯科補綴を加えたもの | 721万8480円 解説を見る |
詳しい算出条件 |
後遺障害の逸失利益(後遺症) | 439万8480円 =480万円(年収)×0.05(労働能力喪失率5%)×18.327(67歳までのライプニッツ係数) |
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後遺障害の慰謝料(後遺症) | 110万円 |
入通院慰謝料 | 132万円 |
休業損害 | 40万円 |
入院雑費 | 0円(本ケースでは入院0日なので) |
治療費等 | 実費 (保険会社から直接病院に支払われることが多いです) |
交通費 | 実費 |
その他 | 参考保険金額が増額される可能性があります。 弁護士費用、遅延損害金など |
・後遺障害の逸失利益について
上記の参考賠償金額の後遺障害逸失利益は、後遺障害等級に応じた形式的な計算をしています。
しかし、歯牙障害の場合、歯科補綴を加えることにより、歯の機能は回復し、仕事への影響は考え難いとして、後遺障害逸失利益が認められないことが多くあります。
もっとも、歯を食いしばって力を入れるような仕事をしている被害者の場合などは、仕事への影響が考えられるとして、後遺障害逸失利益が認められる可能性があります。
その場合の労働能力喪失率は、仕事の内容に応じて個別に判断されることになります。
・2歯以下の場合
3歯または4歯に歯科補綴を加えた場合、14級が認定されます。
この14級は、最も低い等級ですので、1歯または2歯に歯科補綴を加えたにとどまる場合、後遺障害等級は認定されません。
しかし、後遺症があることは間違いないので、後遺症慰謝料が認められることがあります。
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