背骨を動かしづらい後遺症が残った場合の後遺障害等級、賠償金額、後遺障害の立証方法について解説します。
40歳、会社員、年収480万円、
交通事故について被害者の過失なしの場合
等級 | 後遺障害 | 参考賠償金額 |
6級5号 | 脊柱に著しい変形又は運動障害を残すもの | 8254万5632円 解説を見る |
詳しい算出条件 |
後遺障害の逸失利益(後遺症) | 5893万9632円 =480万円(年収)×0.67(労働能力喪失率67%)×18.327(67歳までのライプニッツ係数) |
---|---|
後遺障害の慰謝料(後遺症) | 1180万円 |
入通院慰謝料 | 335万円 (これが基準額ですが、生死が危ぶまれる状態が継続したときや、麻酔なしでの手術等極度の苦痛を被ったとき、手術を繰り返したときなどは、より高額になる可能性があります) |
休業損害 | 800万円 |
入院雑費 | 45万6000円 =1500円×304日(10ヶ月) |
治療費等 | 実費 (保険会社から直接病院に支払われることが多いです) |
交通費 | 実費 |
その他 | 参考保険金額が増額される可能性があります。 装具等購入費、家屋・自動車等改造費、将来の治療費等、将来の雑費、近親者の付添看護費、弁護士費用、遅延損害金など |
8級2号 | 脊柱に運動障害を残すもの | 5969万2320円 解説を見る |
詳しい算出条件 |
後遺障害の逸失利益(後遺症) | 3958万6320円 =480万円(年収)×0.45(労働能力喪失率45%)×18.327(67歳までのライプニッツ係数) |
---|---|
後遺障害の慰謝料(後遺症) | 830万円 |
入通院慰謝料 | 335万円 (これが基準額ですが、生死が危ぶまれる状態が継続したときや、麻酔なしでの手術等極度の苦痛を被ったとき、手術を繰り返したときなどは、より高額になる可能性があります) |
休業損害 | 800万円 |
入院雑費 | 45万6000円 =1500円×304日(10ヶ月) |
治療費等 | 実費 (保険会社から直接病院に支払われることが多いです) |
交通費 | 実費 |
その他 | 参考保険金額が増額される可能性があります。 装具等購入費、家屋・自動車等改造費、将来の治療費等、将来の雑費、近親者の付添看護費、弁護士費用、遅延損害金など |
6級5号の運動障害は、正常可動域の10分の1以下をいいます。
たとえば、首を前に曲げる(頚部の前屈)は60度が正常可動域です。その10分の1以下は6度となりますが、5度単位で切り上げて表示するルールですので、10度以下ということになります。
背骨の首と胸・腰にあたる部分(頚部と胸腰部)の両方が正常可動域の10分の1以下になった場合に6級5号の対象となります。
背骨の首と胸・腰にあたる部分のいずれか一方だけでは対象になりません。
これに対し、背骨の首と胸・腰にあたる部分(頚部と胸腰部)のいずれか一方だけが正常可動域の2分の1以下になった場合は8級2号の対象となります。
なお、事故前から骨粗しょう症があった場合、加害者側(の保険会社)からは、事故だけが原因ではなく、骨粗しょう症も後遺障害の原因になっているから、その分を賠償金から差し引いてほしい(=素因減額してほしい)と主張されることがあります。
しかし、以下の文献のとおり、骨粗しょう症があれば、その分が常に賠償金から差し引かれるというわけではありませんので、注意が必要です。
・『交通事故における素因減額問題』183頁(小賀野晶一他2名編 保険毎日新聞社)
「骨粗鬆症の診断がなされているからといって、素因減額の対象となる訴因として斟酌されるわけではない。高齢被害者については、極めて年齢不相当な病的場合を除き、骨粗鬆症を理由とする減額はなされていない。」
・『事例解説 高齢者の交通事故』29頁(古笛恵子 新日本法規)
「加齢による骨密度の減少(身体の変性自体)は、その程度が年齢相応のものから大きく異ならないときは、『個体差の範囲』に留まるのであるから、骨粗鬆症との診断がなされていたとしても、それのみでは素因減額の対象とならない。したがって、減額を主張する側に、骨粗鬆症の程度と損害への寄与についての具体的な主張・立証が求められることになる。」
・赤い本下巻平成26年版の小河原寧裁判官講演部分(日弁連交通事故相談センター東京支部)
「日本全体で800万人から1000万人の者が骨粗鬆症と診断される可能性があることからすれば、...『骨粗鬆症』と診断された場合に、直ちに通常の体質とは異なる身体的特徴を超える『疾患』と捉えることには疑問があります。」(46頁)
「そもそも、交通事故で骨折することはよくあることで、通常であれば、骨折が起きないような事故態様である場合でない限り、骨粗鬆症によって骨折が生じた、あるいは当該骨折に骨粗鬆症の影響があったことを立証することは現実には難しいと思います。」(48頁)
大分市、別府市、中津市、日田市、佐伯市、臼杵市、津久見市、竹田市、豊後高田市、杵築市、宇佐市、豊後大野市、由布市、国東市、東国東郡 姫島村、速見郡 日出町、玖珠郡 九重町、玖珠町
交通事故に関する示談金・後遺障害等級など、どうぞお気軽にご相談ください。