背骨が動かし難い(運動障害)の後遺障害等級

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背骨を動かしづらい後遺症が残った場合の後遺障害等級、賠償金額、後遺障害の立証方法について解説します。

認定される可能性のある後遺障害等級

ご確認前に必ずお読みください
ここでは認定される可能性のある後遺障害等級をご確認頂き、1つのケース(被害者40歳、年収480万円、被害者の過失なし)を前提に、個別事情を考えない一般的な計算方法で計算した適正な賠償金額(参考賠償金額)をご覧頂けます。しかし、参考賠償金額は、年齢や年収をはじめ、具体的な事情によっては、金額が変わるものです。

参考賠償金額については、ぜひ、「内訳」までご参照ください。特に、具体的な事情によっては、内訳にある「その他」の賠償金も認められることにより、参考賠償金額よりも実際の賠償金額が大幅に多くなるケースもあります。

ご自身の場合の賠償金額がどうなのかについては、お気軽に無料相談をご利用ください。
参考賠償金額については、治療費が含まれていません(保険会社から直接病院に支払われることが多いため)。治療費を含めれば、その分だけ大きな金額となります。また、交通費も含まれていません。
併合によって、等級が上がっている場合は、その上がった等級の参考賠償金額と内訳を参考にして下さい。併合についてはコチラをご確認ください。

40歳、会社員、年収480万円、
交通事故について被害者の過失なしの場合

等級 後遺障害 参考賠償金額
6級5号 脊柱に著しい変形又は運動障害を残すもの 8254万5632円

解説を見る

詳しい算出条件
以下のa)~c)のいずれかにあたり、背骨が全く動かない状態。
a)背骨の首、胸・腰にあたる部分に、それぞれ、せき椎圧迫骨折(背骨を構成する骨(椎体骨)が、縦方向の圧力によって潰れていること)等があることがレントゲン写真等により確認できる。
b)背骨の首、胸・腰にあたる部分に、それぞれ、せき椎固定術が行われた。
c)うなじや背中、腰の軟部組織の器官(筋肉、脂肪、線維組織)に明らかな損傷が認められる。
参考賠償金額内訳
[入院  10ヶ月 / 通院期間  10ヶ月 / 休業日数  20ヶ月]の場合
後遺障害の逸失利益(後遺症) 5893万9632円
=480万円(年収)×0.67(労働能力喪失率67%)×18.327(67歳までのライプニッツ係数)
後遺障害の慰謝料(後遺症) 1180万円
入通院慰謝料 335万円
(これが基準額ですが、生死が危ぶまれる状態が継続したときや、麻酔なしでの手術等極度の苦痛を被ったとき、手術を繰り返したときなどは、より高額になる可能性があります)
休業損害 800万円
入院雑費 45万6000円
=1500円×304日(10ヶ月)
治療費等 実費
(保険会社から直接病院に支払われることが多いです)
交通費 実費
その他 参考保険金額が増額される可能性があります。
装具等購入費、家屋・自動車等改造費、将来の治療費等、将来の雑費、近親者の付添看護費、弁護士費用、遅延損害金など
注意:この内訳は、上記のケース(40歳、年収480万円等)を前提とした場合の一般的な基準による算出結果です。 具体的な事情によっては、金額が大きく異なりうるものです。

なお、後遺障害等級6級の保険金額1296万円というのは、最低限の補償である自賠責保険による保険金額の上限です。任意保険会社に対しては、この金額を超えた請求が可能です。
8級2号 脊柱に運動障害を残すもの 5969万2320円

解説を見る

詳しい算出条件
以下のⅰ)又はⅱ)の状態。
ⅰ)以下のa)~c)のいずれかにあたり、首、又は、胸や腰にあたる背骨を動かせる範囲が2分の1以下になった状態。
a)背骨の首、又は、胸・腰にあたる部分に、せき椎圧迫骨折(背骨を構成する骨(椎体骨)が、縦方向の圧力によって潰れていること)等があることがレントゲン写真等により確認できる。
b)背骨の首、又は、胸・腰にあたる部分に、せき椎固定術が行われた。
c)うなじや背中、腰の軟部組織の器官(筋肉、脂肪、線維組織)に明らかな損傷が認められる。
ⅱ)頭蓋骨と背骨との間(首の上の部分)に著しい異常可動性(=関節以外の所で曲がること)が生じた状態。
参考賠償金額内訳
[入院  10ヶ月 / 通院期間  10ヶ月 / 休業日数  20ヶ月]の場合
後遺障害の逸失利益(後遺症) 3958万6320円
=480万円(年収)×0.45(労働能力喪失率45%)×18.327(67歳までのライプニッツ係数)
後遺障害の慰謝料(後遺症) 830万円
入通院慰謝料 335万円
(これが基準額ですが、生死が危ぶまれる状態が継続したときや、麻酔なしでの手術等極度の苦痛を被ったとき、手術を繰り返したときなどは、より高額になる可能性があります)
休業損害 800万円
入院雑費 45万6000円
=1500円×304日(10ヶ月)
治療費等 実費
(保険会社から直接病院に支払われることが多いです)
交通費 実費
その他 参考保険金額が増額される可能性があります。
装具等購入費、家屋・自動車等改造費、将来の治療費等、将来の雑費、近親者の付添看護費、弁護士費用、遅延損害金など
注意:この内訳は、上記のケース(40歳、年収480万円等)を前提とした場合の一般的な基準による算出結果です。 具体的な事情によっては、金額が大きく異なりうるものです。

なお、後遺障害等級8級の保険金額819万円というのは、最低限の補償である自賠責保険による保険金額の上限です。任意保険会社に対しては、この金額を超えた請求が可能です。

後遺障害等級認定のための立証方法

6級5号の運動障害は、正常可動域の10分の1以下をいいます。

たとえば、首を前に曲げる(頚部の前屈)は60度が正常可動域です。その10分の1以下は6度となりますが、5度単位で切り上げて表示するルールですので、10度以下ということになります。


背骨の首と胸・腰にあたる部分(頚部と胸腰部)の両方が正常可動域の10分の1以下になった場合に6級5号の対象となります。

背骨の首と胸・腰にあたる部分のいずれか一方だけでは対象になりません。


これに対し、背骨の首と胸・腰にあたる部分(頚部と胸腰部)のいずれか一方だけが正常可動域の2分の1以下になった場合は8級2号の対象となります。


なお、事故前から骨粗しょう症があった場合、加害者側(の保険会社)からは、事故だけが原因ではなく、骨粗しょう症も後遺障害の原因になっているから、その分を賠償金から差し引いてほしい(=素因減額してほしい)と主張されることがあります。


しかし、以下の文献のとおり、骨粗しょう症があれば、その分が常に賠償金から差し引かれるというわけではありませんので、注意が必要です。


・『交通事故における素因減額問題』183頁(小賀野晶一他2名編 保険毎日新聞社)
「骨粗鬆症の診断がなされているからといって、素因減額の対象となる訴因として斟酌されるわけではない。高齢被害者については、極めて年齢不相当な病的場合を除き、骨粗鬆症を理由とする減額はなされていない。


・『事例解説 高齢者の交通事故』29頁(古笛恵子 新日本法規)
「加齢による骨密度の減少(身体の変性自体)は、その程度が年齢相応のものから大きく異ならないときは、『個体差の範囲』に留まるのであるから、骨粗鬆症との診断がなされていたとしても、それのみでは素因減額の対象とならない。したがって、減額を主張する側に、骨粗鬆症の程度と損害への寄与についての具体的な主張・立証が求められることになる。」


・赤い本下巻平成26年版の小河原寧裁判官講演部分(日弁連交通事故相談センター東京支部)
「日本全体で800万人から1000万人の者が骨粗鬆症と診断される可能性があることからすれば、...『骨粗鬆症』と診断された場合に、直ちに通常の体質とは異なる身体的特徴を超える『疾患』と捉えることには疑問があります。」(46頁)
「そもそも、交通事故で骨折することはよくあることで、通常であれば、骨折が起きないような事故態様である場合でない限り、骨粗鬆症によって骨折が生じた、あるいは当該骨折に骨粗鬆症の影響があったことを立証することは現実には難しいと思います。」(48頁)

この記事を書いた人
深田茂人
深田法律事務所 代表・交通事故専門弁護士
深田 茂人(ふかだ しげと)
平成17年弁護士登録。平成19年に大分市城崎町に深田法律事務所開設。 これまでに1000件以上の交通事故相談、450件以上の依頼を担当しており、特に適正な後遺障害等級の認定が得られるよう注力しています。
【主な職歴・所属】
・大分県弁護士会副会長(平成26~27年度)
・大分県労働委員会会長(令和2年~現在)
・日弁連交通事故相談センター委員
・日本交通法学会会員
・日本賠償科学会会員

 

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