被害者様:40代の男性(大分市在住)
事故現場:大分市
交通事故の態様:バイクで交差点を直進していたところ、相手の車が右折してきて衝突
ケガの内容:右脛骨高原骨折・肩甲骨骨折・頸椎捻挫・右足関節痛・頭部打撲
解決した金額:1431万円
治療が終了しました。医師に書いてもらった後遺障害診断書には「Xp上、肩甲骨の骨癒合良好」と書かれています。
肩甲骨に違和感があって痛いのですが、後遺障害は認定されますか。
また、右ひざの痛みと張りも残っています。
当事務所の弁護士が、後遺障害診断書を拝見したところ、たしかに「Xp上、肩甲骨の骨癒合良好」と書かれていました。
しかし、ご相談者から、肩甲骨の違和感、痛みの状態を詳しく聴き取ったところ、骨が十分に癒合していない可能性があると思われました。
骨折の事案では、Xp、つまりレントゲンでは、骨がしっかりくっついている(=骨癒合良好)ように見えても、CT撮影をすると、骨がくっついていないことが判明する、ということがしばしばあります。
後遺障害等級は、後遺障害診断書の記載をもとに認定されるため、間違って「骨癒合良好」と書かれていては、等級が認定されない可能性があります。
そこで、治療中に撮影した全ての画像を確認した上で、場合によっては、主治医にCTを撮りなおしてもらう必要があることを説明しました。
ご相談者から、ご依頼を受けることとなり、当事務所の弁護士は、病院から全ての画像を取り寄せました。
そして、画像を精査したところ、事故の直後はCTを撮っており、肩甲骨の骨折が確認できました。
しかし、治療(保存療法)を経た後は、レントゲンしか撮られておらず、それらのレントゲンを見る限りは、肩甲骨の骨折が残っていることは確認できませんでした。
そこで、当事務所の弁護士は、ご依頼者と一緒に、主治医に面談をしました。
当事務所の弁護士が、主治医に、
「先生、すみませんが、念のため、肩甲骨のCTを撮っていただけませんか?」
とお願いしたところ、主治医は、
「うーん、たぶん、骨、ついてないよ。」
と言ってきたので、大変驚きました。
骨がついていない可能性はあると思っていましたが、後遺障害診断書に「Xp上、骨癒合良好」と書いた主治医が、骨がついていないことを知っていたとは、さすがに思いもよりませんでした。
「だったら、ちゃんと調べて、後遺障害診断書にそのことを書いてくださいよ!!」というセリフが口から出そうになりましたが、喧嘩になっても仕方がないので、ぐっと飲みこみました。
CT撮影の結果、肩甲骨の上部がぱっくり割れたままであることが判明しました。
医師は後遺障害診断書を書き直しました。そこには、
「右肩甲骨骨折は、CT検査にて、一部骨癒合を認めるも転位は残存し癒合不全である。」
と書かれていました。
当事務所の弁護士は、
「これで大丈夫」
と思い、必要な書類を揃えた上で、自賠責保険会社を通じて、損害保険料率算出機構に後遺障害等級の申請をしました。
後日、通知が届き、当事務所の弁護士は中身を確認しました。
まず、右ひざの骨折の手術後の痛み残存について、12級が認定されていました。
(右ひざについては、もともと後遺障害診断書に詳しく記載がなされていました。)
この結果は、順当なものでした。そのまま、読み進めていくと、
「後遺障害診断書上、右肩甲骨折後の所見として、『転位は残存し癒合不全である』とされていますが、提出の画像上、骨折部の骨癒合は変形などもなく良好に得られているものと捉えられ、・・・第14級9号に該当するものと判断します。」
と書かれており、またもや大変驚きました。
14級は、痛みが残った場合で、その痛みの原因が画像などによって判明しない場合に認定される等級です。
等級としては、右ひざの12級と右肩の14級で、併合(=あわせて)12級という結論になっていました。
(*14級をあわせても、等級は上がらないルールになっています。)
後遺障害診断書に、癒合不全、つまり骨はついていない、と明記されており、そのCT画像も一緒に提出しているのに、全くもって不可解でした。
損保料率機構の担当医師が、レントゲン画像しか見なかったのか。それとも、CT画像を見たものの見落としたのか。
仕方がないので、CT画像の中から、もっとも分かりやすいものを印刷した紙を提出し、等級の異議申立てをしました。
その結果は、
「異議申立に基づき提出の右肩部の画像を再度検討した結果、烏口突起骨折後の癒合は良好に得られているものの、肩甲骨上縁部に癒合不全が認められ、・・・第12級13号に該当するものと判断します。」
というものでした。
そして、右ひざの12級とあわせ、併合11級が認定されました。
等級が1つ違うだけで、少なくとも数百万円は変わってしまいます。
「医師も損保料率機構も、被害者のためにもっと丁寧な処理をしてほしい・・・」
心の底からそう思った案件でした。
併合11級の認定により、自賠責保険会社から331万円が支払われました。
この件のように、先に自賠責保険会社から支払いを受けた場合、次に任意保険会社から支払いを受けることになります。
ただし、等級などによって金額が決まっている自賠責保険とは異なり、任意保険では金額の交渉が必要になります。
(*最低限の定額を早期に支払ってもらえる自賠責保険に対し、任意保険は「交渉」や「裁判」によって決まる賠償金総額から自賠責保険の金額を差し引いた金額を支払ってもらうものだからです。)
任意保険会社と交渉を繰り返し、最終提案として、726万3288円の提示を受けました。
しかし、いまだ、慰謝料が弁護士基準の満額ではなかったり、後遺症が仕事に影響する期間を短く見積もられたりしていました。
そこで、当事務所の弁護士は、ご依頼者に、裁判をするメリットとデメリットを説明したところ、裁判をすることになりました。
裁判では、入通院中の状況、後遺症が仕事や日常生活に与えている影響などを、カルテなどの医療記録とご依頼者本人の陳述により、丁寧に主張・立証しました。
その結果、慰謝料の額、後遺症が仕事に影響する期間など、すべて弁護士基準によることを前提に、任意保険会社から1100万円を支払ってもらう内容の和解が成立しました。
裁判前に自賠責保険から支払われた331万円と合わせると、総額1431万円がご依頼者に支払われたことになります。
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・【足首の骨折】等級が非該当から12級に上がり、保険会社提示額の100万円から1474万円の14.7倍に増額した事例
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・【背骨の骨折】後遺障害8級が認定され、賠償金が955万円から2909万円に増額した事例
・【背骨の骨折】後遺障害11級が認定され、賠償金2031万円を獲得した事例
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・【半月板損傷】医学文献で裁判官を説得し、14級から12級に上がった事例
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